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※この本は、筆者が提唱するオリジナルな理論(通称:対話法)を軸にして、日本対話法研究会の会員による研究活動の成果も盛り込んで構成しました。
もくじ
はじめに 第1章 ワークと解説 1-1 グループ実習の目的と方法 1-2 誤解への気づきと対処法 ワーク1 誤解の可能性に気づく 誤解の主な原因 ワーク2 誤解の可能性と対処法 誤解の解消法 ワーク3 あいまいな表現に気づく あいまいな表現から生じる誤解への対処法 1-3 応答の種類と感じ方の違い ワーク4 感じ方の違いを体験する 1-4 応答の型の分類 確認の定義 確認以外の応答の例 ワーク5 応答の区別 1-5 要点の理解と確認 ワーク6 要点の把握と確認型応答 ワーク7 発言と確認の練習 ワーク8 事柄と感情の区別 事柄・事実 感情・気持ち ワーク9 事柄と感情の確認 事柄の確認 感情の確認 ワーク10 過去と現在の感情 ワーク11 ポジティブな確認 1-6 確認技法の練習 ワーク12 3人一組での練習 ワーク13 ロールプレイング 1-7 言い方・伝え方 ワーク14 患者へのポジティブな言葉 ワーク15 医療従事者へのポジティブな言葉 ワーク16 開いた質問と閉じた質問 ワーク17 事柄と感情を明確化する質問 1-8 ディスカッション ワーク18 医師への報告と相談 ワーク19 医師への依頼と相談 ワーク20 医療従事者の依頼への対応 1-9 スキルアップ練習 ワーク21 発言の背後にある感情の確認 ワーク22 質問の背後にある感情 ワーク23 文芸作品から学ぶ ワーク24 確認のタイミングに気づく トラブルを予防・防止する方法 ワーク25 沈黙する患者への声がけ 沈黙の主な意味 沈黙への対応のヒント 1-10 被援助者の心理の理解 ワーク26 ブラインドウォーク ワーク27 ブラインドウォークの感想 第2章 確認を中心としたコミュニケーションの理論 2-1 対話における2種類の応答 確認型応答と反応型応答の定義 確認型応答の性質 反応型応答の性質 質問と確認型応答の違い 質問を反応型応答とする理由 |
応答の種類と細かい言い回し 確認型応答の語尾の注意点 2-2 対話の原則 対話の原則を守る必要があるとき 理想的な対話の流れ 応答のバランス 2-3 話の要点 要点の種類 要点のつかみ方 要点のずれ 言葉の省略と復元 言いたいことと言ったこと 事柄と気持ち 2-4 繰り返しとオウム返し 繰り返しとオウム返しの問題点 想像や推測による言い換え 「同じ言葉」で返すとき 練習としての繰り返しの効用 2-5 確認技法の練習 2-5-1 確認者 確認型応答は違っていてもいい 過去のことだけが語られる場合 分かりすぎる話の場合 2-5-2 発言者 発言者の技量と責任 いま、ここでの気持ちを語る 2-5-3 観察者 2-5-4 交替の意義 2-5-5 感想の話し会い 2-6 他に重要なこと 相手の話が聞けない理由 思うことと言うことの違い 無言確認 同意と同感の是非 対話・会話の3つのポイント 効果的なコミュニケーションの 技法とルールの条件 コミュニケーションは風船運び 第3章 ファシリテートの技法 3-1 ファシリテーターの役割 3-2 各場面での対応 3-2-1 対立が起こりそうになったとき 3-2-2 具体的な対応法 3-2-3 刻々と変化する心理への対応 3-2-4 確認技法練習での役割 3-3 他に重要なこと 人によって理解が違うことを実感させる 無意識にしていることを意識させる ファシリテーターのネガティブ表現 沈黙への対応 質問への対応 確認技法のレベル設定 グループ実習の終わり方 実習後に配慮すること 付録1 重要語句 付録2 報告・連絡・相談のポイント 付録3 〈対話法〉での確認技法の練習 参考文献 |
はじめに コミュニケーションにはさまざまな意味がありますが、この本で扱うのは、人と人とを関係づける「対人コミュニケーション」です。どのように関係づけるか は、コミュニケーションの目的によって違ってきます。さらに、コミュニケーションは、大きく分けて、言葉で伝える「言語コミュニケーション」と、態度や表 情などで伝える「非言語コミュニケーション」とに分けられます。この本で扱うのは、言語コミュニケーションです。また、言語コミュニケーションの中でも、 相手の話を聞いたあとの「応答」に重点を置いて進めます。
コミュニケーションは、人と人とを結ぶ働きもすれば、切る(不用意な発言による関係の悪化など)働きもします。しかし、ここでは、医療従事者のコミュニ ケーションということで、結ぶ働きの方を扱います。コミュニケーションの目的を、ここに絞った場合、相手への「思いやり」「心配り」「暖かさ」などの心構 えが重要な要素になります。そして、これらを具体的に実現するためには技法(スキル)が必要です。ところが、技法や技術という言葉には「操作」というニュ アンスがあるため、このような言い方を好まない人もいるようです。しかし、この本の中では、思いやりや心配りという精神論的な言葉だけでは説明しきれない ことを伝えたいため、あえて技法という言葉を使うことにします。
コミュニケーションは、日常における家族や友人との会話、職場での会話、そして、この本の対象である患者や医療従事者との会話など、場所や立場の違いに より会話の目的や内容が異なります。しかし、基本的な技法は同じです。したがって、この本に書かれていることの多くは、どんな分野にも応用できます。それ を考慮して、例題等は、できるだけ広範囲なテーマを盛り込みました。
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